これちょっと成長しすぎじゃなかろうか。
Vitaの追加シナリオ
CROSS†CHANNEL。いろんな機種に移植されたりその際加筆されたり、某菌糸類に大絶賛されていたり、こないだPCのリニューアル版(こんどこそ完全版?)が出たり、発売されてから10年以上経っているにも関わらず愛され続けるこの作品。
情操教育とかではどうにもならない生まれつきの何らかの性格の異常(作中では群青と表現)を抱え、時には反社会的な行動を自動的に行ってしまうことに苦悩しながら、異常な世界で必死に生きていく太一を初めとした登場人物に心を打たれまくる。
特に学校や社会で人と上手くいかないとかで殻にこもりがちとか、理屈ではおかしいとわかっているんだけど、自分でもわからんが意図しない行為をしてしまう、さらにどうしてか同じ失敗をくり返してしまう……とかなんか上手くいかない、みたいな人には特にどこかしら共感できる所があったんじゃないかと。
PSVita版クロスチャンネルでは、本編クリア後に、FORGOTTEN STORYという太一以外のキャラクターの視点で描かれた小話群が読めます。
一つ三十分もあれば読める手軽なものです。
面白かったシナリオ
- CROSS†’CHANNEL(トモダチの塔)
- 山辺美希の場合
- 桜庭浩の場合
トモダチの塔は見たことなかった。これは衝撃的すぎた。この話を読めただけでも良かった。
美希編は本編の裏側が明かされたのと、単純にキャラが好きだから。
桜庭編は後半の男三人の旅の雰囲気が良かった。
各話感想
桐原冬子
いつも不機嫌で、周りの環境に不満を垂れ流しながらも、その反面実はかなりの寂しがりやでだれかに救ってもらいたいという、実に見事な反転属性付き勝気娘(太一曰く)でありました。
過去の事から太一を上っ面では拒絶しながらも、他人に心を許したひと時の心地よい思い出が忘れられないのか太一を求めまくりな冬子の内心が可愛かったです。
ふてくされてる中でこんな妄想してたんすか。
本編でも、デレモードに入った時のとろけ具合は凄まじかったからなぁ……。しかし、これも度が過ぎると大変なことになるんですけどね。
後半は冬子とハラキリ丸(刀)についてちょっとシリアス。その後おやすみ。
宮澄美里
ほのぼの。重苦しい雰囲気はなく全体的にほっこりする話。
でもみみ先輩の群青さはテキストを追っているとよく出てる。だれもいない世界になっても一学期に提出した部活予定を守れません、とか真面目に発言する当たりが異常。
酔っぱらっている時でも、
「セクハラ……ダメ……ゼッタイ。酒は飲んでも飲まれるな。飲んだら乗るな。乗るなら飲むな」
……とか規律?のことばかり言っている気が。
途中で選択肢になっていない選択肢がありましたが、これも規律に縛られる性質ってことを指しているのかね。
この作者では選択肢が全部同じ内容ってのがよくありますが。
こんな感じで。
佐倉霧
まさかのギャグ?話。何かと太一に衝突してくる霧の話だから、重苦しいものになる……とか思っていたらいい意味で予想が裏切られて面白かった。
太一暗殺計画、CASE107とかなっちゃってますけど、それもうとっくに一週間過ぎてますよね?
後は、レベル99の美希とのすれ違いっぷりがもう。なんかつらい。
見えてるものが全然違うからなぁ、霧視点で改めてみると、本当に美希に巧みに行動を操作されているようにしか見えないですね。
霧の暗殺計画に対して太一が遊びとかじゃれてるとしか思ってなかったり、曜子も赤子をいなすように止めるくらいで、空気も殺伐としていないから、これはこれで平和で良い……のか?
マニュアル車の操作って慣れるまで大変だよね。半クラってなんだよ。半クラって。
山辺美希
誰もいなくなって泣きじゃくるばかりだったレベル1の美希がいかにしてレベル99になったのか?が描かれていて、本編の直接的な補完になっていましたね。
部員同士の殺し合いにループしていく中で度々遭遇しながらも、ループ世界で死なないように自分の身を守る手段を試行錯誤しながら取り続ける美希が描かれていました。
本編ではその過程で発生した苦悩を太一に打ち明けているシリアスなシーンがありますが、この話では暗い感じになることはあまりなく、自分を守るために太一や霧の動向に細心の注意を払いつつも持前の明るさで日々を過ごしていく美希が印象的でした。
最後のラジオのノリとか軽いな!
だが、この軽さも数々の部員の屍を乗り越えてできたものだた思うともう……ね。
そんな中先輩のサインを集めることに生きがいを見出し、嬉しがったりする美希はかわいい。サイン集めに重要な意味があったことに気付かされたのでした。
それにしても廊下の血の掃除ってここまで大規模だったのか。
これもう血だまりってレベル。
支倉曜子
シナリオの進み方がまさに彼女の性格を表したようなものになっていた。
何時何分に太一が○○だった。○○だった。
という箇条書きの日記帳のようなシナリオが延々と続きます。
太一に全く眼中に入れられていなくて落ち込む曜子ちゃんがひたすら描かれていますので、本編のお姫様だっことか、たまに見せた曜子ちゃんの振る舞いを可愛いと思った人はおすすめできるんじゃないかと。
後半にはあまりに太一に相手にされないので、おかしくなりますが。
島友貴
適応指数的には正常に近い?だけあって、人間が消えた世界で現実的に生き残る手段を模索し、生命維持活動部を立ち上げて食料調達に奔走しています。桜庭のせいでひどい目にあっていますが。作者自身はカレーパンをどう思っているだろうか気になりますね。
前述した通り友貴は良い意味で真っ当なので、太一の異常性に気付けないところがあるものの、それが太一にとって付き合いやすかったのではなかろうか、太一とのやりとりを見て思った。
主役は友貴のはずが、なぜか他キャラクターが目立っている一枚絵が多い。
曜子のバカップルはんたーいは、作者の心の叫びだろうか。
桜庭浩
適応係数は放送部員で一番低くて、一番正常な感覚を持っている……はずなのだが、この異常事態にここまでポジティブ&度を越えたマイペースさを発揮していると、適応係数とはいったい……うごごご、みたいな気分になります。
人を探しに町を徘徊する中で、かくれんぼや警察ごっこを一人でしている所は、桜庭はどこまでいっても桜庭でしたと言わざるを得ない。面白いけど。
太一と世界がなぜこんなことになったか話をしている際に、
「オレたち8人はズレてしまったんだ」
「そして入れ替わってしまった」
とか発言しますが、これが当たらずとも遠からず(当たりと遠さが3:7程度)で少しドキリとしたり。
後半の男三人の旅は雰囲気が最高でした。男三人の中だと太一はかなり気配りもできて常識的な対応をするかなりいいやつなのが印象に残った。
これも異常性を隠すための並々ならぬ努力の結果だと思うと泣けるぜ……。
深いな(深くねぇよ)
これは桜庭編ではないですが。
ピーナッツ入りの柿の種の尊厳の話と言い、桜庭はさらっと迷言残すよね。
CROSS†’CHANNEL(トモダチの塔)
なんか……すご……。
劇中の八人が、誰もいなくなった平行世界に迷い込む直前にその世界で起きた惨劇が描かれています。
なるほど、美希が掃除してたのは誰の血だとか、霧が見つけた白髪の老人?の死体は誰のものだとか、こう繋がるんですね。適応係数84の本領発揮と言うべきか、太一の真の異常さここに極まれりですね。トモダチの塔って文字通りトモダチの塔。うげぇ……。
本編ではここまで太一が暴走するシーンはなかったように記憶してますが、美希編の最初の世界がそうだったように、数えきれない程のループ世界でこういった展開になる可能性は少なくないんでしょうね。
もうどうしようもなく手がつけられず、完全に言動も思考もイってしまっている太一に唯一届いたのは、彼女の一言。
RGQ@QKI。
これでもう美希のヒロイン度の株価がストップ高(どういう意味かはあえて触れない)
この言葉を言う時の、ジワジワと美希を嬲る(←興奮するよな)シーン(←ネタバレ)なんぞ痛々しすぎて見ていられんかった。絵といいここ力入りすぎ。
本編でも、美希との掛け合いが一番生き生きしているし、本編中でもどこか特別な扱い?ですよね。自分も一番好きだけど?
ちなみに太一視点のこの話では美希の発言は全てこんな感じですが、バックログで全部正しい音声が再生できる、という事に後で気付く。一度は通しで聞いてみることをおすすめ(トロフィーもとれる)
別にこの状態でも何を言っているのかは一応理解はできるんですが。
vita版の違いとか
太一の絵
太一だけに限らず、新規に書き起こされたものは絵柄が違います。
このポーズはなんやねん。
この立ち絵は違和感を感じた。
これ好き。あまり使われないけど。
ちなみに着流しバージョンもある。
スクショを撮る時は×ボタンを直後に押す
スタートボタンを押すと文章がスキップなので、テキスト付きでスクショを取る際にそれ以降が既読のテキストだと、スクショを撮った後買ってにテキストがスキップされてしまいます。
スクショを撮る際に×ボタンを即効で押してあげると被害を最小限に食い止めることができます。
これに限らないが、スタートボタンを押すと何が起き、スクショを撮りにくいノベルゲーは多い。Fateも撮りにくかったような。
エロはないがレーティングネタが豊富
聞いていた通りレーティングに関してのメタネタが凄まじいくらいに多かった。
原作で元々レーティング云々で改変された所はほぼ全部ネタが詰め込まれている。それで、原作とは違った?面白さになっている。
理由はわからんが、なぜか万有引力の法則に逆らってスカートがめくれなかったり。
アレなシーンでなぜか大事な所が見切れてたり。
こういうメタネタはこの作者の特徴だよね。
そりゃなぁセクハラマイスターの太一が原作のようにフルパワーを発揮したら、CERO[Z]も裸足で逃げ出すぜ。
ファイナルコンプリートはレーティングに引っかかるので置けません。