人間の主食がフルーツであることを、本能と生物学の観点から探っていく。
炭水化物を全て一緒にするな
人間の主食は炭水化物です。
……と言うと、まず間違いなく正確に伝わらず勘違いをする人が大量発生するので、本題に入る前に前提を明らかにしておきます。人間の主食に適した、ここで言う炭水化物とは、未加工な自然食品……フルーツ等に含まれている炭水化物のことです。
米、麺、パン、砂糖、芋、フルーツ……全てを一緒に炭水化物として扱われることが多いので、初めにこれらの炭水化物と呼ばれるものをざっくりと分類しておきます。
炭水化物分類のポイント
ポイントは、
未精製か精製か?
単糖か多糖か?
になります。
他にも炭水化物の種類には、二糖、オリゴ糖等があるのですが、ここではわかりやすく単糖と多糖の二つに分けます。
砂糖の単糖とフルーツの単糖は全くの別物
精製炭水化物とは植物から抽出された糖のことで、砂糖(砂糖は正確に言うと食物繊維が無いので炭水化物ではないです)とか白米がメジャーですね。砂糖の単糖もフルーツの単糖も舌の上では甘く感じられますが、栄養的にはこの二つは天と地ほど差があります。
フルーツは少量に控えるべき、と主張してくる人は、たいてい砂糖や他の米や小麦等の食べものとフルーツの単糖を一緒にして考えている傾向がある気がします。砂糖はビタミン、ミネラル等がないが、フルーツにはそれらの栄養素が含まれている。
穀物等の多糖は消化吸収が大変
フルーツに含まれている単糖は最も消化吸収が容易で、舌の上で甘く感じられます。一方で米などの穀物に含まれている多糖類は糖同士の結びつきが強く、これらを食べると胃の中で単糖へ分解します。その際に膨大なエネルギーが必要になります。
米や小麦製品は舌の上で甘く感じられず、通常加熱処理されて食べられます。我々人類はそのままでは味がせず、消化吸収しにくい物を食べにくいからって加熱処理して栄養を犠牲にしてまで食べている訳ですね。そのような食べ物が日本の主食らしいです。
炭水化物の分類
単糖 | 多糖 | |
---|---|---|
未精製 | フルーツ等 | 根菜類、玄米、未精製の麺類・パン等 |
精製 | 砂糖等 | 白米、精製済みの麺類・パン等 |
かなり大雑把な分類なのですが、表にするとこのような感じ。この記事が指定している炭水化物は表の左上の項目になります。つまりフルーツです。
以上を踏まえて、本題に入ります。本記事では直感的に理解できるようにシンプルに人間の主食がフルーツであることを二つの例で示します。
本能で主食を考えてみる
人間の本能から、本当に人間に適した食べ物について考えてみる。ここでいう”食べ物”とは生・未加工であることを前提とします。何も加工せず、手を使いそのままかじりついて食べるということです。
なぜなら何十万年前~何百万年もの間、食べ物を調理加工する技術を持たなかったかつての人類の祖先は、味覚と匂いと味と見た目と手触りの五感を頼りに食べ物を決め、自然の状態のものをそのまま食べて繁栄してきました。
現在の私達人類の身体構造はその期間とほぼ同じらしいとのことなので、今現在も、自然の食べ物に五感で食欲を本能的に感じるかどうかが、正しい食べ物の選択であるということを前提に置きます。
是非とも、常識とかとっぱらって、本能で感じてほしい。
あなたの本能は何を求める?
前項をふまえて質問です。
次の食べ物の写真の中から
あなたが、
- 空腹時目にすると本能的に食べたくなる
- 空腹時口に近づけるとよだれがでる
- 空腹時食べた時においしいと感じることができる
と思われる食べ物を次の中から一つ選んで下さい。
(繰り返しますが、写真の食べ物は未加工でそのまま食べるが前提です)
さあ、どれを選びましたか?
え?牛選んだ?
殺したての牛食べるんですよ?
顔や手、全身を血まみれにしながら、血流を啜ったり、骨をボリボリかじったりして、貪り喰うんですよ?
ん?アザラシ?
生のアザラシを美味しく頂くあなたはイヌイットですね。わかります。
ちなみに殺したてのアザラシの肝臓はグリコーゲンが残っているとかで甘いそうですね。
米……だと?
うん。米は生でも意外と食べられますよ。おいしくはないですが。
一時期毎日100gくらい生玄米食べていた時期あります。
と、冗談は置いといて……。ほとんどの人がみかんかバナナを選んだのではないかと思います。レタスもみかんとバナナを除けば選択肢に入らないことはないですが、みかんとバナナがある以上選択されることはあまりないと考えます。
それ以外にも、生で食べられないこともない物も一応いくつかあります。木の実もそのままで食べられるものも結構ありますが、フルーツ食べてた方がおいしいでしょう。
豆の未加工ってどんな味わいなんだろうか……。蒸したサツマイモは自分も好物なのですが、生はちょっと喰えたもんじゃねぇ。
魚は牛よりはマシだろう。でも牛だろうが豚だろうが殺したての動物をそのままの状態で食べるのはやったことないんでわかりませんが、多分不快だろう。あまり想像したくない。
上の写真の中で、よだれが出て、おいしいと感じて、本能的に食べたくなるもの、単純に考えたらみかんとバナナだけです。次点でレタスかな……。
フルーツはそのままで完成されている。
想像して欲しい。
上の画像のフルーツの中から自分が一番好きなフルーツを手にとって、これから食べるところを。顔に近づけ、匂いを嗅いでいる所を想像するとよだれが出てきませんか?同じことを他の食べ物でやったらどう感じるでしょうか?
自然な状態、すなわち生で未加工の食べ物の中なら、フルーツが最も人間の本能と味覚を刺激することは誰もが認めざるをえないでしょう。
逆に牛や豚の群れにがっつくことを想像してよだれが止まらなくなる人いますかね?
いたらあなたは逆に相当レアな人です。友達になりましょう。フルーツはそのまま食べるだけで、味覚、嗅覚、腹、栄養素、等を満たしてくれる超優等生な食べ物です。
生物の分類の観点から主食を考えてみる
私たちが住んでいる地球にはたくさんの種類の動物が生息しています。生物学では、その大量の種類の動物の中から、特徴がよく似た動物同じカテゴリーに分類しています。例えば、ウマ、ロバ、シマウマとかですね。
このように姿形特徴が似た動物を生物学的に分類する言葉として、目とか科とか属という言葉が使われます。(目が一番大雑把な分類)上で挙げたウマ、ロバ、シマウマは全てウマ科の動物です。
ウマ科の主食とは?
では、馬、ロバ、シマウマが好んで食べる食べ物とはなんでしょうか?
草です。
自然環境の中でのウマは、一日の六割を草を食べて過ごしているそうです。ウマは他にも、りんごなどのフルーツ、人参などの根菜類などを食べますが、基本的にはウマは草を食べる動物です。ロバやシマウマも同じ。
ネコ科の主食とは?
もう一つの例。
ライオン、ネコ、チーター、ヒョウなどのネコ科が好む食べ物とはなんでしょうか?
肉です。
……が、これは正確ではないです。正確には殺したての動物の臓器・骨・肉等、体全体です。
解剖学(生体構造)、生理学、生化学、心理学は、いずれも人間が肉食ではないことを示している。
肉食動物は死体(肉体)を食べるというのは正確ではない。別の動物を食べる動物は、通常生の肉を食べる。殺したばかりの肉をうまそうに食べる。食肉動物は、肉だけでなく身体の大部分を食べる。筋肉だけでなく、臓器も食べるし、温かい鮮血など体液をおいしそうになめる。
腸が大好きであり、消化途中の内容物も喜んで食べる。さらに、小さな骨を砕き割り、骨髄、軟骨(コラーゲン)を食べる。(中略)
動物を丸ごと貪り食う犬の元気な様子を見ると、食肉動物が栄養として必要としているものは、彼らにとって非常に美味であることに確信が持てるだろう。
引用元:The 80/10/10Diet 筆者要約。
このように、自然の肉食動物が食べるのは肉だけではないです。動物の肉を食べると大量の酸が体内で発生するので、これを相殺するために、大量のカルシウム(アルカリ性のミネラル)が必要になるとのこと。そのため、肉食動物は動物の骨も大量に食べる必要があるのです。
ヒト科の主食とは?
では、我々人間、ホモ・サピエンスが属する、ヒト科の主食を見てみましょう。ヒト以外のヒト科に属するもので有名な動物は、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンなどです。
これら霊長類と呼ばれる動物が、自然の環境では主に何を食べているかご存知ですか?
フルーツと葉野菜です。
この中でもゴリラは体重が重く、木に成るフルーツを得ることができないので、葉野菜の摂取の割合が多いです。チンパンジーとボノボとオランウータンはフルーツと葉野菜を食べる割合は近いです。
チンパンジーは他のどの動物よりも、人間と酷似している。(中略)人間の脳はチンパンジーの脳によく似ている。人間と猿の最も大きな違いは、解剖学的な要素よりも行動学的な部分である
引用元:グリーン・フォー・ライフ
一番近いのはボノボ説もあり。
チンパンジーの食生活
では、遺伝子的に人間に近いと言われている野生のチンパンジーの食生活はどうなっているのか?
上の引用元の『グリーン・フォー・ライフ』にグラフが掲載されていたので、引用してみます。
引用元:グリーン・フォー・ライフ
チンパンジーの研究者として世界的に有名なジェーン・グドール博士の本のデータを参考に、この本の著者が示した野生のチンパンジーの平均的な食生活を示したグラフ。
グリーンは葉野菜のこと。
半分がフルーツで、40%ほどが葉野菜と花、残りは、植物の茎や革、種子、昆虫となっています。
食事全体の2~7%は植物の茎と木の革で、木が花をつける時期には花が占める割合が10%まで上昇します。ナッツは最大で5%ほどを占めるそうです。昆虫や動物に関しては、どの研究書でも食生活の1%を超えることはないそうです。
似たような動物は似た食べ物を好む
このように、地球上の生き物を分類してみると、似たタイプの生き物は似たような食べ物を好むようにできています。地球上の全ての動物の中で、我々人間のみがこの法則の例外だったりするのでしょうか?おそらく人間もその法則に当てはまっています。
現在の人間の食べ物は、季節、地理、入手できるもの、好み等によって異なっていますが、移住や順応によって人類の根本的な消化器官が変化するほど時間は経過していません。
人間とチンパンジーとの相違はわずか二%で、体毛の有無や頭脳の発達程度に見られるにすぎず、解剖学的に見たからだの構造、消化器官をはじめとするすべての代謝機能はなんら変わりがない(なお『Nature』誌が2002年1月に、人間とチンパンジーとの遺伝子配列の相違はわずか1.23%と発表しています)
引用元:常識破りの超健康革命
まとめ
人間は生のそのままの状態で、楽に心理的にも抵抗がなく、おいしく食べられるのはフルーツ。
地球上全ての似た生き物は似たようなものを食べる。
人間に似た霊長類はいずれもフルーツを中心に食べることで種を残してきた。
よって、人間はフルーツを多く食べるべきである。